第2の住まいや第2のパスポートを取得したいと思う富裕層が増えている一方で、寄付をするのは気が進まないという声を聞くことが多くなりました。投資によってもたらされる居住権や市民権を手に入れるために、高額な不動産を購入したり、管理したりといった面倒なことはしたくありません。
今回は、債券に投資することで、すぐに2つ目のパスポートを取得したり、2つ目の市民権につながる居住地を手に入れたりすることができる8つの国を紹介します。
まず、債券を買うだけですぐに市民権を得ることができる国を紹介します。1つ目は、カリブ海にあるセントルシアです。これまでセントルシアで債券を買うためには、最低50万ドル(HKD)と5万ドルの政府手続き費用が必要でした。 日本円に換算すると、約2200万円です。
そのため多くの人にとって厳しいハードルでしたが、2020年の後半になって、期間限定で債券の最低額は25万ドルに引き下げられ、5万ドルの手続き費用も3万ドルに引き下げられました。5年間投資することによってセントルシアの市民権を得ることができ、最終的には25万ドルを無利子で取り戻すことができます。
カリブ海で2つ目の市民権を探すことは、悪くない選択肢の1つです。また、トルコでも2つ目のパスポートを数ヶ月で取得できます。ほとんどの人が25万ドルの不動産を購入しますが、業者と上手く協力すれば、外人向けの不動産ではなく、適正価格のものを購入することができます。また、投資額を50万ドルまで倍増させることで債券の購入が可能となっていきます。これは、トルコに資金を投入して、手っ取り早く市民権を得るための1つの選択肢となるでしょう。
世界で最も多くの人が憧れる国の1つであるイギリスには、「Tier 1 visa program」と呼ばれるものがあります。投資額に応じて5年後、3年後、あるいは2年後のイギリス版の永住権であるILR(Indefinite Leave to Remain)の取得を目標にして居住者になることができます。
とはいえ、イギリスの長期滞在者になるためには、英語が話せなければなりません。そのため、債券への投資額を増やしてILR取得まで2年間と期間が短くなる場合には、英語の習得に苦労することも考慮する必要があります。投資する額は、永住権を確保するまでのプランによって決まります。ヨーロッパのゴールデン・ビザ・プログラムとは異なり、このプログラムでは、単にイギリスに住まずに市民権の取得を目指すというものではありません。
実際にイギリスに住む必要があるため、場合によっては永住権や市民権の取得には至らないかもしれませんが、イギリス債券に投資する資金があるのであれば、検討すべき選択肢の1つです。
もう1つの選択肢であるニュージーランドは、富裕層の間で人気が高まっており、投資家がニュージーランド市場に資金を投入するための様々なプログラムが用意されています。また「投資家1」と「投資家2」という選択肢があり、投資額は300万ドル(NZD)から1,000万ドルまでとニュージーランドで過ごす時間の長さに応じて選択できます。投資額が少なければ、市民権の取得に向けてより多くの時間を国内で過ごす必要が出てきます。
投資額が多ければ、1年に6週間ほど滞在するだけで大丈夫です。もしあなたが1,000万ドルの投資資金を持っていて、所得税はあまり高くないけど、他の税制上のメリットがある国へとアクセスしたいと考えているなら、ニュージーランド以外にも選択肢があります。
ニュージーランドでは、1,000万ドルも投資することで、滞在時間を最小限に抑えて簡単に取得することができますし、安価な選択肢もあります。またヨーロッパの多くの人が、ポルトガルのゴールデンビザプログラムを知っています。ポルトガル債券に100万ユーロを投資することで取得できます。不動産を購入したくない場合やマネージドファンドに投資したくない場合は、単にポルトガルへ資本投資を行うオプションもあり、100万ユーロのレベルで行うことができます。
お隣のスペインでも、ゴールデンビザはありますが、200万ユーロの国債投資オプションもあります。スペインの場合、一般的には国債に限られますが、200万ユーロをスペインの国債に投資すると、比較的有利な条件で滞在許可証を取得し、永住権の取得や市民権の取得を目指すことができます。
スペインでは市民権を得るまでの時間が比較的長く、ヨーロッパで富裕税を導入している数少ない国の1つでもあります。最良の選択肢とは言えませんが、スペインが好きな方や、家族の誰かがスペインに移住したいと考えている方にはオススメです。スペインには、新規移住者のための名目上の節税機会があり、スペインの債券を利用することもできます。
スペインのお隣、アンドラでは、基本的に40万ユーロのカテゴリー別居住プログラムがあります。アンドラはあまり話題になっていませんが、アンドラの居住者になるためにはいくつかの異なる基準を満たす必要があります。
その1つは、実際に年間90日以上この国に滞在する必要があること。もう1つは、自分自身のために保証金を設定する必要があります。滞在プログラムから外れた場合に備えて、自分の生活を支えることができるように、40万ユーロの投資をすることができます。
アンドラ公国に40万ユーロを投資しようと思ったら、市民権を得るまでの道のりはスペインよりも長いです。市民権を得るまでには何十年もかかるでしょうが、平和で孤立した、非常に税金の安い国を探していて、四季があり、スキーが好きで、住民の活動を維持するために時間をかける必要のない場所を探しているのであれば、アンドラは適切な選択肢となるでしょう。もし、様々な投資を考えているならポルトガルの方が取得しやすいかもしれませんが、単に市民権が欲しいだけなら、アンドラは悪くないかもしれません。
ヨーロッパで最後に注目すべきゴールデン・ビザ・プログラムは、ラトビアです。このプログラムは、イギリスのプログラムと同様に、以前はかなり人気がありましたが、現在は人気がなくなっています。ラトビアでは、投資家に対してあまり多くの居住許可を発行していません。最も一般的なものは、会社を設立して毎年一定額の税金を支払うというものです。
ビジネスを展開している人にはそれも一つの方法かもしれませんが、ヨーロッパの他のゴールデンビザに比べて制限が多く、銀行に借金をすることもできてしまいます。しかし、25万ユーロの国債を0%の利子で投資すれば、ラトビアの滞在許可証を取得できますが、最初は一時的なものです。
実際にその国に住めば永住権を得ることができますが、そうでない場合は投資を続けている間は一時的な滞在許可になります。東欧の雰囲気が好きな人もいると思いますが、ラトビアの首都・リガは非常に発展した美しい街で、冬になるととてもきれいです。
実際、落ち着いた静かな雰囲気の中で過ごしたいのであれば、良い場所です。最近人気が出てきているポルトガルには行きたくないという人もいるでしょう。またラトビアでは、債券投資家向けに独自のプログラムも提供しています。
以上、8つの国で債券などにに投資して滞在許可証やパスポートを手に入れることができます。