「こんな夢をみた。」という書き出しで始まる「夢十夜」は、漱石の潜在意識から出てきたような十話の作品です。
- 第一夜 死んだ女が約束通り百年後に百合となって現れる話。
- 第二夜 和尚になじられ、必死に無になり悟ろうとする侍の話。
- 第三夜 子供を捨てにいこうとすると、百年前の殺しが甦る話。
- 第四夜 ある爺さんが、店のかみさんや子供たちを煙に巻く話。
- 第五夜 殺される前に女を待つ男が、天の邪鬼に邪魔される話。
- 第六夜 運慶を真似て、仁王を薪から掘り出そうとする話。
- 第七夜 船旅に滅入って、海に飛び込んでしまう男の話。
- 第八夜 床屋の鏡に映る外の景色と幻の女を描いた不思議な話。
- 第九夜 密かに出かけて帰らぬ侍を御百度を踏んで待つ妻の話。
- 第十夜 女にさらわれた色男が、無数の豚に襲われる話。
「夢十夜」は、十人の監督によるオムニバス映画になったり、舞台に掛けられたりと、映画、演劇制作者の創作意欲を駆り立ててきた作品です。隙のない、余韻を引く文体といい、異次元の世界へ誘うストーリーといい、この作品ほど朗読に適したものはないと思われます。また、名作は名優の手によってこそ命を宿します。 林隆三が最初の台詞「こんな夢を見た。」というフレーズを発した瞬間、聴き手は漱石の夢の世界へと一気に引き込まれて行くことでしょう。
※本朗読作品中には現代ではふさわしくない表現が含まれていますが、著者が差別助長の意図で使用していないことを考慮し、原作に忠実に再現しています。


















